Brett Dennen

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「基本に戻る時が来たんだ。」ブレット・デネンは、2013年10月22日に発売された5枚目のアルバム『Smoke & Mirrors』について、こう語っている。「作曲を始めた頃に好きだったフォークやアコースティックな音楽に戻りたかったんだ。記憶の中に叩き込んで、できる限り正直に新しい感情の領域を探ろうと思ったんだ。」

ブレット・デネンの音楽キャリアは、シエラネバダ山脈のキャンプ地周辺でつつましく始まった。そこはやがて『Smoke & Mirrors』のインスピレーションを求めて戻ってくることになる隠れ家的な場所だ。「子供の頃、山で多くの時間を過ごした。そこにいるだけで、自信を取り戻すことができたんだ。自分が何者なのかを思い出したんだ。」

2006年にリリースされた『So Much More』で、ブレットは正式にディスカバリーアーティストとしての地位を確立し、ポール・サイモンやトム・ペティといったトルバドゥールたちと頻繁に比較されるようになった。2008年に発表した『Hope for the Hopeless』は、ソングライターとしての自信作だが、プロデューサーにデイヴ・マシューズ・バンドやジョン・メイヤーのジョン・アラギアを迎え、彼のどのアルバムにもないハイレベルな作品に仕上がっている。2011年に発表した『Loverboy』は、これまでで最も大きな出発点となった。旅から影響を受けたダンサブルな曲のコレクションで、友達だらけのスタジオで、完璧でないままレコーディングが行われた。

「レコーディングとツアーを数年間続けた後、本格的なオフが必要だった。私は山の中に家を買い、ソングライターとしての自分のルーツに再会できた。丘を歩き、孤独を楽しみ、インスピレーションが湧いた時だけ書くようにした。」

山奥から戻ったデネンは、持ち帰った曲をより良いものにするために協力者を探し、著名なプロデューサーであるチャーリー・ピーコックを見いだした。「チャーリーは最近ザ・シビル・ウォーズのために美しいレコードを作ったから、理想的なプロデューサーに思えたんだ。電話で数分話しただけで、すぐに打ち解けた。彼は、私のボーカルとアコースティックな音色にフォーカスしたレコーディングを望んでいた。私たちのゴールは、デモをシンプルに仕上げ、命を吹き込むことだ。」

デネンとピーコックはナッシュビルを本拠地とし、ブレットが住むL.A.の快適な環境を避け、ほとんど見知らぬ人たちと仕事をすることにした。「会ったこともないミュージシャンとレコーディングするのは、とてもエキサイティングなことだった。チャーリーはマーク・ヒル(レバ・マッキンタイアのベーシスト)、ジェリー・マクファーソン(フェイス・ヒルとマルチナ・マクブライドのギタリスト)、ドラマーのアーロン・スターリング(最近チャーリーとザ・シビル・ウォーズのレコードで共演)、ルビー・アマフ(女の子だけのジャック・ホワイト・アンサンブルのボーカリスト)などを呼び寄せたんだ。新しい人たちと一緒に仕事をすることで、自分の知っている人たちでは出てこないような要素を探ることができるんだ。だから、チャーリーには、私が最高の自分でいられるような雰囲気を作ってもらったよ」。

ピーコックの作品は、デネンの力強いヴォーカルを前面に押し出し、セッション・プレイヤーたちは控えめなパワーでアレンジの肉付けをしている。ピーコックは、「ブレットと私は、アレンジを作り上げるのに多くの時間を費やした。プロダクションの面でも、彼はすべての曲を独自のものにしながらも、一貫性を保つようにと勧めてくれて、それが実現できたと思う」と説明している。

アルバムのリード・シングルである 『Wild Child 』は、ジョージ・ハリスン風のスライド・ギターを少し加えたシンガロング・コーラスを含むフックに満ちた曲である。『When We Were Young 』は、単音のギターサウンドに安定したバックビートが加わり、ドン・ヘンリーの『Building the Perfect Beast』に匹敵するスピード感のある曲となっている。R&Bテイストのアコースティックギターのフックで始まる『Don’t Mess With Karma』は、 結婚に関する話題の曲で、人間の人生の浮き沈みを5つの簡潔な節に凝縮し、ジャジーなエレクトリックギターとピーコックのチャーチオルガンがそのソウルなメッセージを強調している。

「アコースティックギターと繊細なマンドリン、囁くようなヴォーカル、そしてレゲエのテイストが、この曲に優しい雰囲気を与えた。この曲には、なぜ恋をしているのかを思い出し、その絆を邪魔するものにとらわれないで欲しいというシンプルなメッセージが込められている。」

「チャーリーは明確なプランをもっていて、私がリラックスして自分自身になりきれば、きっといい音楽ができると断言した。彼は私に、プロセスを信じて、事の成り行きを見守りなさいと言い、その通りになった。」

「アルバム名を『Smoke and Mirrors』としたのは、このアルバムの大きなテーマのひとつである歌詞の中で、物事は見かけ通りにはいかないということを表しているから。物事がどうあるべきかということに焦点を当てると、本当の姿が見えなくなってしまうんだ」

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